昭和人の恋ものがたり

団塊世代の、じじいの妄想話です。

【Take it fast !】 (訣別)

もっとも、話をする機会もなく、
話しかけることもできずにはいた。
それでも、
真面目派の男にとっては、
同じ空気を吸っているだけで幸せな気分に浸っていた。
ヒネクレ派の話から聞こえてくるその女子生徒は、
タイプとして内向的な男は嫌いだという。
それが少なからず、
真面目派の男にショックを与えた。
そのことからの、
発奮であった。

“十七歳を境とし、
過去と訣別する!”

そんな決意は、
誰も知らない。
勿論、二人も。
そして、
その兆候は見え始めた。
体力づくりと称してのランニングだけとはいえ、
部活動への参加。
そして自習時間中の発言。
この男にとっては、
並々ならぬ精進である。
肉体的苦痛はさ程でもないが、
精神的苦痛は激しい。
時として、
喉がヒリヒリとする程に緊張している。