2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧
大きくため息をついた浅田は、ティーカップを手にして窓辺に向かった。 「彼女には…。 今の君と同じ立場に立たされたのですよ、わたしも。 そう、二歳の女の子が居たのです。 信じられますか? 敬虔なクリスチャンで、未婚の女性で、理知的な女性に、です。
「しかし先生。女子学生の間では、大人気ですよ。エコヒイキがない、とも言われてます。」 吉田は話題をすり替えた。確かに、浅田のホモ説は知っている。 しかしその真偽については、知りたくなかった。
「はあ、そうですね。言われてみれば、肩肘を張ってたような気がします。 形にこだわりすぎたような気がします自分に対する叱咤激励、というか…」 浅田が、吉田の言葉を引き取った。
「まあ、聞いてくれよ」 と、昨日のことを話し出した。 「酔っ払いはねえ、基本的に自己中心なんです。 ほろ酔い、泥酔、そして乱酔。生酔い、大酔、酩酊なんてのもあるね。 その度合いが深まるにつれ、自己中心もまた度合いが深まっていく。
喉にひりつきを覚えた彼は、 「悪かった。どうだい、ビールでも飲むかい?」 と、冷蔵庫を開けた。 「そうだった、ウィスキーを買ってきてたんだ」 吉田の差し出したウィスキーに、彼は少したじろいだ。 耀子のマンションで初飲みしたその翌日、二日酔いに悩…
「吉田君って、子供が好きなんだね」 「いや、俺も初めて知ったよ」 「で、どうしたの?」 「うん、ま3 な。彼女、本名は妙子って言うんだが、霧子じゃなくて良かったよ。 それはどうでも良いんだが…妙子ん家に泊まった」
「笑えるはずがないじゃないか。君がそんなに悩んでるのに、笑うことなんてできないよ。でもどうして、そんなことに‥」 「そうなんだ、そうなんだよ。どうして俺が、この俺さまが。女は、美人じゃない! 断言できる。
久しぶりの、おばさん節を。 「父という漢字はねえ」 と、もったいぶった語り口で、始まりました。 「こう、書くだろ?」 父
「コン、コン、コン」 ベッドに寝転んでいた彼の耳に、突然ノックの音が入り込んできた。 “えっ?! 誰だ? まさか、貴子さん、なんてことはないよな”
“それにしても、最近はどうなってるんだ。のぶこさんや耀子さんには、からかわれるし。貴子さんとは、相変わらずだし” ベッドに潜り込んでからの彼は、ただただ悶々としていた。 “何をしたって言うんだ、まったく。それとも、もっと強引に行かなくちゃいけな…
彼の気持ちの中には、井上に対する申し訳なさが渦巻いていた。 収入のこともありはしたが、本音を言えば貴子のことだったのだ。 毎日顔を合わせるのが、辛くなってきていた。 どこかしらぎこちなさが漂い始めている二人だった。
近年にない猛暑に悩まされ続けた夏も終わり、デパートでのアルバイトを辞めてからほぼ一ヶ月が経った。すぐに見つかるだろうと思っていた家庭起教師のバイトも、条件が合わずに決まらずにいた。 “デパートのバイトを辞めたのは早計だったか…” 半ば後悔の気持…
「今、起きます。起きますから、待っててください」 一時の酩酊状態からは抜け出したものの、体に力が入らない彼だった。 「情けないぞお! 妙齢の女二人が居るというのに」 耀子のそんな声に、のぶこが呼応した。 「そうだ、そうだあ! 男なら、襲ってみな…
「おいっ、こらっ! ミタぁ、起きろ! 練習だぞ、ダンスの練習だあ!」 耀子が突然に、酔いつぶれてテーブルにうつ伏していた彼の、頬を抓ったり耳たぶに噛みついたりした。 「はいっ、わかりました」 応えはするものの、彼の体はピクリともしなかった。
「すみません。ぼくは、人参よりキュウリがいいです」 「バカねえ、人参じゃなきゃダメなの」 「好きじゃないんですよ、人参は。どうしても、ダメですかあ?」 「もう、この子ったら。とぼけてるの? それともホントに分かんないの? のぶこ、何か言ってやん…
「ねえ、飲もうかあ」 突然、耀子が立ち上がった。のぶこは、待ってましたとばかりに 「そのつもりで来たのよ、ホントは。ミタ君、いいでしょ?」と、またしても彼に抱きついてきた。アルコールが入っているのか、ほんのり桜色の顔色であることに、彼は気が…
「そう、そんなものかなあ。男性ってさ、ある時期を過ぎると急に威張り出すのよねえ。 のぶこの彼も、そのタイプかあ。 でも、のぶこも不思議。何もバツイチの男性を、好きにならなくても良いでしょうに。 ここに素敵な男性が居るじゃない、ねえ、ミタちゃん…
「ところでさ、のぶこ。さっきの話だけど、どうするの? わたしは実家に戻るんだけど、就職するんでしょ?」 手作りらしき少しいびつな形のクッキーを乗せた皿を中央に置くと、。 のぶこはクッキーをほおばりながら、 「そうなのよねえ、来年も厳しいからさ…
“別人かもしれない” そう思いつつ、所狭しと置いてある観葉植物を避けるようにして、花模様の入ったガラス戸を開けた。 「おじゃまします」 軽く一礼をした彼を迎えたのは、紛れもないのぶこだった。
彼に、嫌も応もなかった。 やっと様になってきたところであり、面白さがわかりかけてきたところだ。 「良いですけど。何処で、ですか?」 「場所の心配はないの。私のマンション、フローリングなのよ。時々、サークル仲間と練習してるの。じゃ、善は急げね」
彼の視線に気付いた耀子は、 「こらこら、どこを見てるの! 彼女とうまくいっていないの?」 と、妖艶な雰囲気を漂わせながらたしなめた。 貴子や真理子とは違った、大人の女性だった。 ユミの醸し出す色気とは又違ったもので、彼の胸の高鳴りは激しくなった…
彼の視線に気付いた耀子は、 「こらこら、どこを見てるの! 彼女とうまくいっていないの?」 と、妖艶な雰囲気を漂わせながらたしなめた。 貴子や真理子とは違った、大人の女性だった。 ユミの醸し出す色気とは又違ったもので、彼の胸の高鳴りは激しくなった…
そんな彼の言葉に耀子は、 「じゃあねえ、私の後ろに来て。男役のステップを踏むから、同じようにステップしてみて」 と、彼を手招きした。
久しぶりの部室には、十人程度が集まっていた。 キョロキョロと見回す彼に、「お久しぶりい!」と、皆が声を掛けてきた。 どうやら男は、彼だけのようだった。 彼の目が、のぶこを捉えた時にリーダーである耀子の声が響いた。
ダンスのレッスンが始まると、右往左往する彼だった。 入れ替わり立ち替わりに、女性達の相手を努めさせられた。 男性が少ないという事情とともに、物珍しさも合わさった。 「スロー、クィッククィック」 という掛け声と共に、彼は言われるがままにステップ…
振り向いた瞬間に、彼は体に電気が走ったような感覚に囚われた。 “何て素敵な女性だろう” それが、のぶこに対する第一印象だった。 *出雲大社参詣記を、[toshichanの旅日記]にアップしました。
「えっ? 本当かい。それは有り難い話だなあ。 今のバイトより、ずっと良いじゃないか。是非にも紹介してくれよ」 彼は、目を輝かせながら答えた。 願ってもない好条件であり、夕食付きというのが何よりも有り難い。 自炊のつもりであったが、結局のところ定…
ガヤガヤという喧噪の中で、彼は一人窓際の席を陣取った。 テーブルの上には、大盛りのカレーライスが置いてある。 310円の代物である。 いつもならば、母親の言いつけ通りに生野菜を添えるのだが、最近は金欠の為に一品だけにしていた。 茂作のこともあ…
その鋭い語気に、彼は一瞬たじろいだ。貴子はすぐさま起きあがると、ブラウスの乱れを整えながら 「ごめんなさい、やっぱりだめだわ。ホントに、ごめんなさい」と、涙声になった。 「いや、いいんだ。いいんだ」彼はベッドの上に大の字に寝そべりながら、不…
あなたに 合掌 この世のすべてに 合掌 あなたに ありがとう この世のすべに ありがとう 朝 目覚めて、びっくりです。 雪があちらこちらに残っています。