2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧
「うんうん。うまいよ、ミドリ。もう一つ欲しいぞよ」 「じゃあ、行くよ。ケンちゃん、大きく口を開けて!」 「イヤだ! こじあけて入れてくれよ」 「うんっ、もう。ケンちゃんの甘えん坊が」 そんな二人のじゃれ合いを、彼は気恥ずかしく見ていた。
9月23日に、一匹の蜂くんが天寿を全うしていました。 その後は、何とか頑張っていた蜂くんたちです。 いつだったかは、あるいは23日の時点で息絶えていたのか、もう一匹が見つかりました。 28日(日)のNHKスペシャル「老人漂流…」 衝撃でした。明日は我…
「タケシ。このポッキー美味しいんだよ」 と口に銜えながら、彼に食べさせようとする。 反対側を銜えろという。ドギマギしながら彼が銜えると、あっという間にユミの唇が彼の唇に触れた。 そしてしっかりと抱きしめられると、長い口づけをされた。
かれこれ二時間近くをその店で費やした。 その間中、配送業務における心構えやら、デパートにおける人間関係を陶々と語った。 人間関係といっても愚痴にも似た事柄もあり、少々辟易することもあった。 社員食堂で女子社員達の噂にのぼる井上像ー生真面目すぎ…
良いお天気でした。 八月の悪天に比べて、ほんとに九月は良いお天気ばかりです。 そして一階には、いつも利用している喫茶店があります。 焼きシフォンケーキセットが、とっても美味しいんです。 初めての会場になった折りに食して以来、毎回(月一回)食して…
ユミは、胸元の大きく開いたドレスを着ている。 テーブルの上を忙しそうに動かすたびに、前のめりの姿勢になると、チラリチラリと谷間が見える。 思わず目を閉じてしまう彼だった。
最近の、おばさんたちの会話です。 「仕事、いつまで頑張る?」 「六十五を越えたんだし、楽隠居よねえ」 「年寄りがいつまでも仕事してたら、若い人たちの仕事がねえ」
「ケンちゃーん! 寂しかったよお!」 「ユミでーす!」 「おぉ、ミドリー!会いたかったぞー」 井上は、その声と同時に立ち上がると、両手を広げてミドリを抱きしめた。 「こらこら、又始まった。あぁ、お尻を撫でてるう。気持ち良くなるから、だめえぇ!」…
「大きな犬に襲われかけた時に、届けにいった商品をかばって噛まれそうになったらしいんだ。 以前に、訓示の中でさ、『商品を第一に考えること。車の水しぶきに対しては、自分は濡れても商品は濡らすな。』って言ったんだが、それを守ってくれたんだナ。
今朝も台所に立って、朝食と弁当の用意です。 そうそう、今朝はバックに竹下ユキさんが熱唱する「100万の本バラ」をリピート状態で流しています。 あいつも毎日こうやって皆の朝食と弁当を用意してたんだ、と。 「頑張ってたんだな…」 今さらでしょうが、感…
店内には、十人足らずのお客が居た。 カウンターに陣取りバーテンダーと話しに興ずる者、何やらボソボソと話す三人連れ、ボックスでホステスの嬌声に戯れる四人連れ、様々だった。 井上と彼は、奥まったボックスに案内された。 淡いピンク系の照明が、壁際に…
二月も終わる或る日、井上係長の声掛かりでクラブに、お供することになった。 麗子との突然の別れから、なかなか立ち直れずにいた彼だった。 いつもの覇気がない彼だった。 井上としても、今までの彼の精勤ぶりからは想像の出来ない状態に、苦言を呈してはみ…
いよいよ、お別れの時期が近付いているのでしょうか。 心なしか、元気がないように思えます。
「あなたは母親のことを美しいと感じていますか?」 [日本人は、母親の美しさに厳しい] 小学生たちは、はにかみながらも嬉しそうに、お母さんがキレイなときを教えてくれています。 「嬉しいときが、喜んでいるときが、キラキラとしてキレイ!」なんだそう…
『男にとって、男のエゴが生命の素である』 武蔵の言葉に反発した彼だった。泣きながら強く詰る母親に同情し、 “あんな男にはなりたくない”と、念じた彼だった。
彼の目から、大粒の涙がどっと溢れ始めた。 「ぼ、ぼくなんかのために、、、ありがとうございます」 「うん、うん、いいんだよ。さあ、話してごらん」
「麗子さん、結婚するんですよ。卒業後に、すぐにでも、らしいです」 「えっ!?なんだい、それ。それって、おかしいぜ。だって、御手洗くん。どういうことなの?遊びだって、ことか!許せんな、君みたいな純な男を弄ぶなんて」
彼女と別れた今、彼は放心状態に陥っていた。 「結婚するわ」 その一言が彼の心に、憧れとしての麗子ではなく、生身の麗子としての存在を植え付けた。 今にして思えば、彼の目に映っていたのは麗子には間違いないのだが、麗子の瞳に映る己を見ていたような気…
麗子は、彼からの言葉を拒んだ。言いかける言葉を遮って言う。 「何も言わないで、わかっています。聞きたくない、それは。 ごめんなさいね、今まで。 彼に抑え続けられる毎日の、憂さ晴らしに貴男を苛めていたのよ、きっと。 そういうことにしておいて」
彼は、一気に吐き出した。途中、口を挟もうとした麗子を制してまくし立てた。 「でも、僕には怒れない。麗子さんの気まぐれに振り回されても、僕にはどうすることもできない。 麗子さんは、ぼくの、ぼくの、その、何ていうか…」 彼は耳たぶまでも赤くしなが…
“スピードを落としませんか、危ないですよ” 彼がそのことを麗子に告げたとしても、受け入れる麗子ではない。 更にアクセルを踏み込むだろう。 “いいさ、その時はその時だ” そう考えると、不思議に彼の心は落ち着いた。 “全てを麗子さんに任せよう”
「答えになっていないわ。 私は、貴男のそういった優等生然とした態度が、童貞という前提から生じていると思うの。 私にはね、そういった貴男がじれったいの。 貴男、きっと女性から言われているでしょう? 『貴男って、いい人ね』どう、違う?
彼の脳裏を、又してもかすめた。 彼の右側の車窓に、ガードレールが流れて行く。 車に疎い彼には、この車がドイツの高級車メルセデス・ベンツであるとは、分からなかった。 左ハンドルであることが、奇異なものとして感じられているだけだった。 麗子にして…
昨日の土曜日、久しぶりの名古屋です。 意気揚々と、秋の晴天を満喫しながら、ゴーゴーでした。 名古屋駅に着いて、「地下鉄東山線はどっちだ」と上を見上げて。 ありました、ありました。
真っ青な空があり、ふんわりとした雲がゆっくりと流れている。 緑々とした草むらに、彼は寝転がった。 彼の右手を腕枕にして、麗子がいる。 お互い言葉を発することもなく、どこまでも青く澄んだ空を見ていた。
閉じられた彼の口は、中々開かなかった。 沈黙の中、彼の、鼻をすする音だけが響いた。 「さぁ、みんな、お開きよ。はい、はい! お部屋に戻んなさい!」 立ち上がった寮母が、パンパンと手を叩きながら、皆を部屋から追い出した。
集会室に集まったのは、寮生全員だった。さらに、寮母も同席していた。 「そもそもの馴れ初めはですね」 「そんなのは、どうでもいい!」 「いや、馴れ初めから聞くべきだ!」 皆が口々に声を上げ始め、彼の声がかき消されてしまった。 と、寮母が立ち上がり…
昨晩、何気なく見やった夜空に、おお! と感激でした。
彼には、麗子の真意がどうしてもわからなかった。 “僕をどうしたいのだろう?” 別れた後に、自問自答する彼だった。確かに、いつも再会の約束はなかった。 「会いたいときに逢う。それじゃだめ?」
麗子が突然立ち上がった。彼は、ハッと我に返った。白日夢の如き妄想から、我に返った。 “本当に手を握っていたのだろうか?” 判然としないまま、彼も又立ち上がった。