そして日曜日の今日だ。
八坂神社から京都御所そして二条城と、修学旅行でもあるまいしといった行程を計画していたとか。
オーバーツーリズムだと騒がれている今、なにをそんなに……と、わたしには思えるのだが。
で、宿泊先のホテルのラウンジで夜の京都を見下ろしながらの食事を済ませてから、最終での帰宅予定だったらしい。
いつものごとくに饒舌ではあるのだが、なにかしら村井らしからぬ話し振りだった。
やはり喧嘩中の細君が気がかりなのだろう。
高校時代に見初めた細君で、ふたつ年下のはずだ。
息を呑むほどの巨乳の持ち主で、瀬尾の羨ましがることうらやましがること。
村井にしても、自慢の細君だ。猛アタックを繰りかえして交際をはじめてからは、たしかに我々との交流が途絶えがちになったほどだ。
一年ほどしたころには、細君の実家に転がり込んでいた。
村井は生来の口達者で、その饒舌ぶりが一家の笑いを産んでいた。
細君の家庭は、祖母に母に妹と、女性ばかりの四人所帯だった。
細君には、まだ早いと躊躇する気持ちがあったのだが、祖母に気に入られたことで話がとんとん拍子に進んでいった。
十八と十六のふたりであることから、互いの親同士の話し合いにより、細君が高校を卒業後に結婚ということで決まった。
それからの村井は、とにかく細君ひと筋に邁進していた。
その洒脱さから良く女子生徒たちと談笑していたけれども、細君の影がチラリとでも感じられると、すぐにその場を離れていた。
そしてまた、男子生徒にどんなに揶揄されようとも、まったく意に介さない村井だった。
その意志を貫く様は、到底わたしの真似できるところではない。
それにしても、今回の諍いの因というのが、村井には悪いが、笑ってしまうことだった。
昨日の内にみやげ物は買い揃えたらしいのだが、細君が今朝になって買い足したいと言い出したらしい。
長男の交際相手のご両親へのみやげ物を忘れていると言いだしたとか。